学部長挨拶
中野 修一 教授
フロンティアサイエンス学部(FIRST)では、バイオテクノロジーとナノテクノロジーを融合した新しい学問である「ナノバイオ」を学び、最先端技術に応用できる基礎研究に取り組んでいます。学部における学びのキーワードは、「生命を化学する」と「生命で化学する」の2つです。
「生命を化学する」とは、“生命”の関わる現象や興味深い構造を化学の力で一つ一つ解明していくことです。化学の本質は、分子の視点で考えることにあります。生命を構成する分子の構造や役割がわかれば、生命現象も紐解いていくことができます。また、「生命で化学する」とは、化学の力で明らかとなった生命現象を、医薬品、食品、化粧品、新素材などの開発に利用することです。その研究成果は、医療、創薬、食品、新材料、エレクトロニクス、環境などの様々な産業技術分野に応用できると期待されています。
FIRSTでは、この2つのキーワードを柱に教育・研究を行っています。
教育
FIRSTは、学生の個性を伸ばす特徴的な施設・設備、教育プログラムが充実しております。1学年45名の入学定員に対して専任教員14名が指導する国公立大学並みの“少人数教育”、学生一人ひとりに専用デスクが用意された学びの拠点“マイラボ”、遺伝子組換など高度な研究技術を習得できる“学生実験”、専門書がずらりと並ぶ地球を象った独創的な“図書室”などのファーストクラスの教育・研究環境を用意し、甲南大学から世界へ羽ばたくグローバルな人材育成を目指しております。また、FIRSTでは専門教育だけでなく、最先端科学や経済の動きを知り、広い視野を養う教育にも力を入れております。例えば、1年次に開講される“フロントランナー講座”では、社会の第一線で活躍する方を講師に招き、研究を取り巻く経済情勢や研究開発における秘話などを学生に紹介いただきます。また、企業と共同研究に取り組み、学んできた専門知識や研究技術が社会でどう役立つかを体験する“ナノバイオコンビニエントプラン”、世界トップレベルの研究者を招聘して講演を行っていただく“サイエンスライブチケット”など、正課、課外における様々な教育プログラムを1年次から提供しています。このような特徴的な教育は、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、さらにその融合領域であるナノバイオテクノロジー分野を研究している教員陣によって支えられています。我々教員は、最先端科学分野に関心をもつ学生諸君のどんな要望にも応えることができると自負していますので、意欲的な学生諸君の入学・進学を待ち望んでいます。
皆さんもこのFIRSTで学んでみませんか。学部の雰囲気、研究内容や教育体制などの情報が満載のこのホームページやブログが未来の自分探しの鍵となれば幸いです。さらに詳しい情報をお知りになりたい方は、遠慮なくポートアイランドキャンパス事務室にご連絡下さい。そこから始まる新しい出会いが皆さんの一生を変え、さらに輝かしい人生を築くきっかけとなるかもしれません。
研究
FIRSTのある神戸ポートアイランドは、フロンティアサイエンス(“最先端科学”)の研究に非常に適した環境となっています。神戸市が推進してきた「医療産業都市」は、今では日本最大級のバイオメディカルクラスターを形成しており、キャンパス周辺には理化学研究所発生・再生科学総合研究センターやスパコン「京」のような研究機関、高度専門病院群、医薬品やバイオ・健康関連企業などが集積しています。また、兵庫県もこれらを支援しており、ポートアイランドで得られた最新の研究成果は、神戸市、兵庫県を中心に全国、全世界へと発信されています。FIRSTでは、こうしたキャンパスの立地上の特性を最大限に活かし、近隣の企業や研究機関などとの連携を進め、「生命化学(ナノバイオ)の研究拠点」となることを目指しています。
FIRSTでは、細胞生物学、生理学、生体関連化学、材料化学、有機合成化学、高分子化学に至る幅広い研究分野をもつ教員が集結しています。その先端研究の中で生まれた研究成果は、研究シーズとして活用し、産学官連携を強力に推進しております。そのような研究連携は、ポートアイランド内の企業や公的研究機関で毎月開催されるクラスター交流会やFIRSTが実施する産学連携サロンを通じて積極的に行っております。これは「医療産業都市」であるポートアイランド全体をキャンパスと見立てた“アイランドシップ連携”の一貫でありますが、もちろん、ポートアイランド内に留まらず、関西圏や日本国内の様々な企業、大学様との産学官連携事業にも積極的に取り組んでいきます。
産学官様々な方々と共同して、私たちは「ナノバイオ産業」の発展に全力を尽くして参ります。
人材
平素は、甲南大学フロンティアサイエンス学部ならびに大学院フロンティアサイエンス研究科(FIRST)の教育、研究活動に様々なご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
FIRSTは、これからの産業の発展に欠かせないナノテクノロジーやバイオテクノロジー、さらに、それらを融合させた研究領域のナノバイオテクノロジー(生命化学)を専門に教育・研究する学部・研究科として、2009年4月に開設されました。学部教育の中で学生たちは、これらのテクノロジーの土台となる基礎的な専門知識や、それを活かせる応用的な専門知識を修得し、さらに、実験や研究に関わる企画力、計画力、遂行力、考察力、表現力などの総合的な力を幅広く学び、身につけます。それらの総合力に基礎として、3年次以降、学生一人ひとりの夢や目標の実現に向けた最先端の研究に日々、取り組んでおります。FIRSTでは、単に最先端科学を教えることは行わず、それを作り出すための基礎的な専門知識や、企画力、遂行力、考察力などの総合力の育成に重きを置き、次の最先端を創出できる人材の育成を目指しております。そのために、ナノバイオの実社会に役立つ先進テクノロジーと、それを創出するサイエンスのバックグラウンドをしっかり身につけること、また、職業人としての責任と自覚、倫理観、豊かで幅広い教養、そして新しい仕事を開拓していくフロンティア精神とキャプテンシップを身につける教育をモットーとしており、21世紀をリードする人材の養成に努めております。我々教員陣は、学部教育を通じて以下のような素養をもつ学生が育成、輩出されることを保証します。
・豊富な研究経験を通じた、問題解決力、忍耐力、論理的考察力をもつ
・最新の研究・開発の情勢を把握する調査力やそれを基盤とする提案力をもつ
・高いプレゼンテーション能力や科学英語能力をもつ
・ナノ、バイオ、ナノバイオ分野に強力かつ幅広いバックグラウンドと研究経験をもつ
皆様におかれましては今後ともFIRSTにご支援を賜りますよう、また、学生の就職につきましても格別のご高配をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。