科目名 | メディカルバイオテクノロジー |
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配当年次 | 2年次(後期) |
単位数・科目 | 2・選択 |
曜日・時限 | 火曜3限 |
担当教員 | 長濱 宏治、水谷 健一 |
講義方法 | パワーポイントスライドおよび板書による解説を中心に行う。 |
概要 | この講義では、近年の医学の劇的な進歩を支えているバイオテクノロジーの新展開及び関連する基礎的事項について解説する。それに伴って、先端テクノロジーがひとの健康の増進と深く関連しているだけでなく、健康(診断や医療等の概念も含む)への欲求が新しいテクノロジーを生み出す原動力となっていることを実感し、医療関連のバイオテクノロジーの将来展望について考えることを目的とする。なお、講義は、バイオテクノロジーを主に物質面から捉えるパートと、主に生体面から捉えるパートに分けオムニバス方式で開講する。 (長濱) バイオテクノロジーの医療への応用を支える機能性分子、高分子材料、ナノ材料等の化学的側面について解説し、医療関連の種々のバイオテクノロジーを分子レベルで理解させることを目的とする。特にバイオテクノロジーの応用が期待されている再生医療、ドラッグデリバリーシステムについては、要素技術の現状と化学的取り組みについて紹介する。 (水谷) 私たち人間一人ひとりが持っている、数万個の遺伝子。それらが、どのように協調しあって高度に秩序だった組織、臓器を造りあげるのか。この疑問に答えることができれば、損傷を受けた組織の再生さえも現実性を帯びてくる。本講義では、神経発生学に焦点を当て、受精卵を出発点とした緻密な発生プログラムによって、如何に高度な機能を担う中枢神経系ができあがるのか、また、将来的に何が解明されれば幹細胞を利用した再生医学が実現するのかについて、分子生物学の観点から講述する。 |
講義の目的と学生の理解・達成目標 | 本講では、現在の先端医療を支えるバイオマテリアル、および再生医学に関する基礎的な要素技術を理解し、これら技術の基盤となる機能性分子のふるまいを化学的に、また、幹細胞の細胞挙動を生物学的に理解してもらうことを目的としている。 この授業で習得・向上できる社会で役立つ能力 Aプレゼンテーションスキル、E問題を発見する力、F新しい発想や企画を生み出す力 |
関連学問 |
生物 化学 物理 |
関連分野 |
生命 環境 医療 創薬 新素材 ファインケミカル 分析 エレクトロニクス 食品 マネジメント |
成績評価 | 10回以上授業に出席しなければ成績を評価しない。 上記条件を満たすものに関しては、「レポート」おyび「プレゼンテーション」を合わせて総合評価する。 |
講義構成 |
(長濱) 1.細胞膜の構造と機能 2.細胞と組織 3.細胞と合成分子との接点、バイオインターフェイスの設計 4.ドラッグデリバリーシステム(DDS)の基礎 5.DDSのための機能分子設計 6.細胞内に物質を導入するための戦略 7.再生医療のための機能分子設計 8.人工細胞の開発と新しい医療技術 (水谷) 9.発生生物学の基礎 10.脳(中枢神経系)の解剖学 11.脳は如何にして造られるのか? 12.大脳皮質の細胞構築 13.大脳皮質の回路形成 14.脳(中枢神経系)の疾患 15.発生生物学を応用した再生医学の可能性 |
教科書 | 指定しない |
参考書・資料 |
(長濱) 適宜、プリントを配布する。 (水谷) 「脳神経生物学」岡本仁、井ノ口馨著(岩波新書 2009年) 「エッセンシャル発生生物学」Jonathan Slack著(羊土社 2002年) |
備考 |
(長濱) 科学技術の進歩により、からだの構成成分である器官、臓器、組織、細胞、生体分子とそれらの階層性を支えるさまざまな情報システム・相互作用に関する理解は急速に進みつつあります。それらの解明を通じて、ようやく様々な疾患への合理的な治療戦略が描ける次代になってきました。一方で、その達成には、生体反応機構に基づいて、生体内で機能することができる分子を合理的に設計する必要があります。つまり、多種多様な生体機能分子の開発こそが、多くの新しい医療を切り開く鍵であることは間違いありません。皆さんのような若い世代のオリジナリティーあるれる分子設計を医療は待ち望んでいます。 (水谷) 脳は多種多様な細胞型の集合体で、複雑なネットワークを構築することで、高次機能の発現を可能にしていますが、この複雑な脳も、元を辿れば、たった一つの受精卵に起因しています。この一つの細胞が数千億個の細胞に分化し、これを正確に配置することを可能にしている実体こそが幹細胞であり、この様な幹細胞の増殖・分化、細胞運命決定を制御する分子機構を理解する幹細胞生物学の発展が、次世代の医療とされる再生医学の実現化に必要不可欠です。基礎生物学から医学応用への扉を開くのは、皆さんの世代の仕事です。 |