(分野の説明)

透明で折り曲げられるフィルム型ディスプレイ、環境汚染物質やにおい物質を分解するナノメートルサイズの超微粒子、口から飲み込んだ薬分子を患部まで運び届けるナノカプセル、免疫を回避する生体適応材料等、新素材開発の最前線と開発戦略に関する知識を身につけていきます。また、そのために必要な、有機化学、無機化学、生物化学、およびそれらに関わるテクノロジーについて学んでいきます。

構造有機化学

有機系新素材の開発には有機化合の知識が欠かせません。構造有機化学では、有機化合物の分類、構造、性質の基礎について学びます。コンフォメーション、共役、電子の偏り等、有機材料の性質に大きく関わる重要な単元を含んでいます。

有機電子論

有機系新素材の合成には有機合成化学の知識が欠かせません。有機電子論では、有機合成化学の基礎となる内容(有機化合物の反応性を理解し予測するための知識)を学びます。

無機化学

新素材開発全般に関わる原子・分子に関する基本概念を学びます。中でも、化学結合や分子軌道、固体の結晶構造等については、新素材開発と大きく関わるため、特に重要です。

有機反応各論

有機電子論の知識をもとに、さまざまな有機化合物の反応例に慣れることによって、化合物の合成経路を考案する力を身につけていきます。実際に使われている新素材の合成経路についても学びます。

量子物理化学

物質の性質を決定している電子状態について学ぶので新素材開発には欠かせない分野です。新素材開発に特に関連の深い、化学結合、分子軌道、物質と光の相互作用について、無機化学よりも深く学んでいきます。また、量子サイズ効果という、ナノ材料の特異な性質がもたらされる現象についても学びます。

バイオ高分子化学

高分子材料は、医療や食品をはじめ、私たちの身の回りのさまざまな場面で活躍しています。本科目では、高分子化合物の構造や性質等、高分子材料・新素材を理解する、また、開発する上で欠かせない知識を身につけていきます。

半導体・デバイス科学

私たちの生活に欠かせない電子機器のベースとなっている半導体材料について、構造と性質をはじめ、種々の応用例について学んでいきます。

電気化学

半導体材料をはじめ、特異な電気特性をもつ新素材を既存の無機材料ではなく、有機材料や生物材料を使って開発する試みが盛んに行われています。本科目の内容は、そのような開発の中身や新素材の物性・応用を理解するときの基盤となります。

生命分析化学

酸・塩基および酸化・還元の概念を理解することは、新素材や機能材料を設計する上で欠かせません。また、固体材料と溶液といった界面での現象を理解する上でも、大変重要な科目です。

生物有機化学

機能性新素材を開発する上で、酵素等の生体材料の構造や性質を参考にすることがよくあります。本科目では、酵素の触媒活性部位の構造や、基質認識部位について、化学的に理解することにより、生体材料の良さを化学設計に活かす方策を学びます。

ナノテクノロジー

ナノサイズ物質の合成、および同物質が示す性質を利用した応用について網羅的に学んでいきます。また、ナノテクノロジーによってつくられる光・電子材料やエネルギー変換材料等に関する知識を身につけていきます。

有機合成化学

さまざまな新素材を合成するためには、目的化合物の構造から、その合成手段(合成経路、原料物質、条件等)を創案する力が必要となります。本科目では、そのような力を身につけていきます。

アドバンストマテリアル

新素材分野の中心となる科目で、無機機能性材料と生体機能性材料について学んでいきます。無機機能性材料では、特に情報機能材料に焦点を当ててさまざまな応用分野を紹介していきます。生体機能性材料では、金属酵素を題材にし、その生体機能に加え、色素や触媒など機能材料としての側面に焦点を当てて学んでいきます。

メディカルバイオテクノロジー

人工臓器の作製に有用な免疫吸着素材や、ドラッグデリバリーに有用なナノカプセルなど、医療に役立つ新素材に関する知識を身につけていきます。

バイオ・食品関連研究開発論

食品や化粧品等、私たちに身の回りでバイオ系新素材が応用されている事例について学んでいきます。

生命化学1

バイオ系新素材の開発や、バイオ分子を手本とした有機・無機新素材の開発に役立つ、バイオ分子の性質や機能について網羅的に学んでいきます。

生命化学2

バイオ系新素材の開発や、バイオ分子を手本とした有機・無機新素材の開発に役立つ、バイオ分子の性質や機能について網羅的に学んでいきます。

ケミカルバイオロジー

ナノ粒子等の無機系新素材が、バイオ分子や生体機能の検出・可視化・制御に応用されている事例について学んでいきます。

ナノ・材料関連研究開発論

ナノテクノロジーを応用した新素材の製造法や、企業的見地からの研究開発の考え方について学んでいきます。

医療テクノロジー

医用材料に焦点を当て、特に生体適合素材(免疫回避素材)や生分解性素材について、性質、設計・合成、応用について学んでいく。

シーズ/ニーズマッチング

新素材開発では、「どのような新素材がどのような分野で必要とされているか」というニーズと、「新素材開発に適用しうる技術基盤としてどのようなものがあるか」というシーズを結びつけることが重要です。本科目では、そのようなマッチングを、バイオテクノロジーを題材にして学んでいきます。