毎週火曜日は1年実験の日(4)

1年生の実験、最後に紹介するのは「アスパルテームの合成」です。

 

アスパルテームは、人工甘味料として広く知られている化合物ですね。

ノンカロリーとかカロリーゼロといった食品・飲料に使われているので、みなさんも耳にしたことがあるのではないかと思います。

 

本来私たちが甘いと感じるものは、ほとんどが糖なのですが、このアスパルテームはペプチド。アミノ酸が2個つながった構造をしています。

 

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糖(グルコース)の構造

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人工甘味料(アスパルテーム)の構造

 

糖とはぜんぜん違う構造なのに、甘く感じられるって不思議ですよね。

人工甘味料のほとんどは糖とは似ても似つかぬ構造をしているので、その発見は偶然によるものが多いようです。

本当の話かどうかわかりませんが、出張中の教授からの「Test it(調べなさい)」という電話の指示を、助手が「Taste it(味をみなさい)」と聞き間違って、試料をなめて偶然に見つかったというエピソードもあるくらいです。

 

さて、甘いと感じるのは、その物質が、舌の表面にある味細胞、さらにその表面にある甘味受容体という部分に結合するから。

つまり、味覚というのは、それ自体が生物と化学が合わさった話、つまり「生命化学」なんですね。

そのあたりの面白さはまた別の授業のお話。

 

今日紹介するのは、合成の実験の様子です。

 

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氷-食塩浴で冷却しながら、シリンジを特殊なゴム栓に突き刺して試薬を加えていきます。

試薬が加わると反応熱によって反応溶液の温度が上がるので、温度を管理しながら少しずつ、試薬を滴下していきます。

温度が上がりすぎると反応がうまくいきません。

また、反応容器の上部には塩化カルシウムを詰めた太い管をつけて、外から反応容器内への水蒸気の侵入を防いでいます。

水蒸気が侵入すると、試薬が水と反応してしまって、予定の反応がうまくいきません。

1年生にしてはかなり本格的な合成操作です。

このような操作を何回か経て、フェニルアラニン(アミノ酸)からアスパルテームをつくっています。


兵庫県初のラウンドアバウト、って何だ?

新年あけましておめでとうございます。

 

甲南大学では1月5日(金)に授業開始!

 

が、すぐに今日からまた3連休というわけで、学生さんたちもなかなかペースがつかめないのではないか、と思います。

 

でも4年生は別ですね。卒業論文の執筆そして発表に向けて、実験も追い込みの時期です。

今日もポートアイランドキャンパスにはちょこちょこ4年生の姿がありました。

実験したり、調べ物をしたり、ですね。

風邪を引かないように、がんばってくださいね。

年末年始はキャンパスがほぼ空っぽだったので、建物自体がすごく冷え込んでますからね。通常期とぜんぜん違うんですよ、冷え具合が。

エアコンをつけても足元や周りから”冷え”がじんわり迫ってきますからね。

 

さて、そんなポートアイランドキャンパスのすぐ近くに『兵庫県初』のあるものが誕生しました。

 

それは、ラウンドアバウト。

 

なんだそれ!?という方も多いと思います。

日本語名は「環状交差点」。

交差点が環状の道路になっており、直進するにしても曲がるにしても、一旦にそこに進入して必要なだけぐるぐる回って、行きたい方向に出て行く、という交差点です。

 

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(矢印の通り、右回りにぐるぐるまわるわけです。)

 

ちょっとわかりにくいのでラウンドアバウトの本場、ヨーロッパのでっかいラウンドアバウトも載せておきましょう。

 

47250020 - aerial view of roundabout in wroclaw city

ヨーロッパにはこういうでっかいのだけでなく、直線道路?と見紛うような極小のものまでいろいろあります。

 

「信号」も「止まれ」もないので、慣れればスムースに通過できます。

まあ、兵庫県に一つでは慣れるもなにもありませんが・・・

 

受験生のみなさん、ポートアイランドキャンパス近くにお越しの際は、兵庫県唯一のラウンドアバウトをご覧になられてはいかがでしょうか。

環状道路の真ん中には「神戸港開港150年」のロゴマークが飾られていますよ。

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#5日にこのラウンドアバウトについて教員陣で話しながら、学生たちとの新年会会場(三宮の某居酒屋)に向かいましたら、そこでかかっていたBGMがマイルスデイビス(←有名なJazzのトランペット奏者です)のラウンド アバウト ミッドナイト。まあ意味は違いますが。でも、こういうのをシンクロニシティっていうんでしょうかねえ。


医療産業都市に学ぶ

フロンティアサイエンス学部(FIRST)の学生は、主にポートアイランドキャンパスで学びます。

昨年度までは「完全に」でしたが、今年度の1年生からは「主に」です。

というのも、週に一度の『岡本デー』がありますからね。

(岡本デーとは、週に1日、岡本キャンパスで全学的な授業を履修する日のことです。)

 

しかしまあ、専門科目はやはりポートアイランドキャンパスで学びます。

そのポートアイランドキャンパスといえば、このブログでも過去何度も登場した「神戸医療産業都市」。

 

その神戸医療産業都市について改めて詳しく知ることのできる授業が「科学と産業政策」。

神戸市がどのような考えのもと神戸医療産業都市をつくり、そこでどのような基礎から応用さらには産業への「橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)」が繰り広げられ、市民のみなさんに還元されるのか、を学ぶ授業です。

 

まあこのように科学を、研究者目線とは違う目線で学ぶわけですが、難しいことを抜きにして見学だけをとってみても楽しい授業です。

 

高松市への航海や、SPring-8での講義・見学などとセットのこのユニークな授業。自分たちが学ぶ拠点について学ぶと言う意味でも、とても大切な機会といえるでしょう。

 

 

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(医療産業都市の歴史や先端研究について学びます。)

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(神戸キメックセンタービルの展望ロビーから医療産業都市の全体像を把握。)

 

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(スーパーコンピュータ京や、現在計画中の後継スパコンの可能性について学びます。)

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(スーパーコンピュータでの演算結果を、3次元で視覚的に捉える神戸大学の施設にて。惑星探査機に使われるイオンエンジンから異音が噴出する様子のシミュレーション、地球内部の対流による地場発生メカニズム予測、火山粉塵の飛散予測など。)


バイブル、といっても聖書のことではありません

フロンティアサイエンス学部(FIRST)にはスチューデントリーダー(SL)がいる、というのは以前に書きましたが、そのSLたちが自主勉強会というか、「自主試験(?)」を行ってくれました。

 

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FIRSTのバイブル(BIBLE)の確認テストです。

 

BIBLEとは、Basic Information Before LEarningの略で、「授業で習うとか考えるとかいう以前に、まず自分で覚えておきましょうよ」という事柄をまとめたもの。

 

FIRSTの学生たちは「大学での学修は暗記ではなく、考えることが重要」と耳にタコができるほど言われていると思いますが、これは決して暗記が不要だというわけではありません。

考えるためには、その拠り所となる基礎的な知識が必要ですからね。

 

ご参考までに、BIBLEの21項目の一部を下に挙げておきます。

 

・ギリシャ文字

 (知らないと、βケト酸とか、ζ電位と言われても戸惑いますよね。)

・SI基本単位、組立単位

 (質量の単位は? 力やエネルギーの単位は?単位がわかれば関係がわかる!)

・単位の接頭語

 (メガは10の6乗、ナノは10の-6乗というあれですね。)

・周期表

 (生命化学科の学生なら、生体内で重要な働きをしている遷移金属くらいはパッと言えないと・・・)

・アミノ酸の構造と名称

 (例えば、正の電荷をもっているアミノ酸は? 生化学から材料科学まで、どんな分野にも欠かせない知識です。)

 

このBIBLE、入学直後に冊子を渡されているのですが、今回、3年生や2年生のSLが「1年生、ちゃんと覚えてる?」と試験をしてくれたわけです。

学生たちによる自主試験なので、私たちは結果は知りませんが、できた1年生もあまりできなかった1年生も、これを刺激にして、2018年は一層の飛躍を遂げて下さいね。


知の交流の祭典・リサーチフェスタ

大学生と高校生がポスター発表を介して交流する「リサーチフェスタ」が、12月23日(土・祝)、甲南大学岡本キャンパスiCommnosで開催されました。

(神戸新聞にも掲載されました。オンライン版記事は「神戸新聞 リサーチフェスタ」で検索して下さい。)

 

甲南大学の大学生・大学院生、そして、主に兵庫県・大阪府下の中・高校生、あわせて約110件のポスター発表がエントリーされ、学部や文理、さらには高大の枠を超えて、互いにこれまでの探求活動や学びの内容、ボランティア活動などについて発表し合いました。

 

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テーマも、人文・社会科学であれば、心の中に関するものから、ビジネスに関するもの、地域社会さらには国際社会に関するものまで、また、自然科学であれば宇宙線や半導体から、細胞、生物個体、医療や環境まで、さまざまな内容が揃い、私たち教員の目から見ても、学問を大いに楽しめる1日となりました。

 

高校生のみなさんには、ポスターの内容だけでなく、甲南大学で学修・研究に取り組む学生たちの姿を直接見ていただけましたし、甲南生のみなさんにとっても、他学部の活動や高校生の探求は大いに刺激になったことと思います。

 

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(発表後の授賞式。『学長賞』受賞者と甲南大学長の記念撮影。)

 

リサーチフェスタは来年も開催の予定です。

高校生のみなさん、甲南生の生の姿と学修・研究内容に触れる機会をお見逃しなく。

もちろん、ポスター発表の申し込みも大歓迎です。