カテゴリー別アーカイブ: FIRST誕生の秘話

A期末試験が終わりB期がスタート 〜A,B期ってなに?〜

フロンティアサイエンス学部(FIRST)では、一部のカリキュラムをクォーター制で実施しています。

クォーターとは4分の1の意味。

大学の授業は前期・後期の2学期制で実施されることがほとんどですが、FIRSTでは一部の専門科目をA期・B期・C期・D期の4学期制(クォーター制)に分け、期間が短くなる代わりに週2回、授業を実施しているのです。

なぜか?

高校までは科学の授業は週に何回もありましたよね?

それが大学に入った途端、「1つの科目につき授業は週に1回」になってしまいます。

前回の内容を忘れてしまうのではないか? 忘れないうちに次の授業日がやってくる方がいいのではないか?

ということで、FIRSTでは設立時から、基幹となる専門科目をクォーター制で実施し、週2回の授業によって集中的に学修することにしているのです。

試験についても学生さんにメリットがあると考えています。

半期の最後に試験があっても最初の方の内容は忘れてしまっていますよね(おそらく)。

クォーター制なら授業全体の内容を把握しやすいといえるでしょう。

また、1回の試験期間の試験科目数も半分になりますので、その意味でも集中的に専門科目を学修することができるといえます。

クォーター制については過去の記事でも紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

【クォーター制(4学期制)】

https://www.konan-first.jp/blog/archives/1065

【クォーター制の利点】

https://www.konan-first.jp/blog/archives/272

【難しいけど優しい?! FIRSTの定期試験(セミナー、生協、クォーター制)】

https://www.konan-first.jp/blog/archives/222

 


ジェンダーバイアス

最近のニュースによると「大学の理工学部系の女子学生の割合は28%」であり、その原因の一つとしてジェンダーバイアスが挙げられていました。(参照元:47News)

つまり、例えば家庭内で親から「女子は理系科目が苦手」「理系は男子ばかり」「卒業しても女性の仕事はない」といったバイアスを掛けられたりしている可能性はないのか? ということです。

一時流行った「リケジョ」という呼び方も、ひょっとしたらジェンダーバイアスを反映しているのかもしれませんね。

理系女子学生さんからは「私たちはリケジョではなくて、ただの理系学生ですよ。」という声を聞いたこともありますので。

さて、なぜこの話題を取り上げたかというと、フロンティアサイエンス学部(FIRST)は、全国有数の「女子学生比率の高い理系学部」だからなんです。

2016年度の調査結果では、理学系学部で全国1位でした。

大学ランキング、2項目でトップに!」(2017年5月11日、本ブログ記事)

ちなみに2022年度のFIRST新入生の女子率は54% !

最新の全国データは把握できていないのですが、おそらくこの数値は、全国トップクラスでしょう。

なぜ、女子の高校生・受験生から高い支持を得ているのか?

この理由が、私たちには思い当たらないし、当の女子学生さんたちに聞いても、まったくわからないんですよ。

ただ確実に言えることは、「女子は理系科目が苦手ではない」「理系は男子ばかりではない」、そして、「卒業してから女性も大活躍」ということです。

4年生女子

(がんに関連する遺伝子に作用する物質を探索する研究に取り組んでいる4年生。学生広報委員としても活躍中です。)

さて、さきほどのニュースでは、女子学生を増やす方策(アンケート回答)として「女性の働きやすさ整備とロールモデル(手本)の育成」が挙げられていました。

女性のロールモデルといえば、甲南大学のOB・OGの寄稿文を集めた書籍「正志く 強く 朗らかに II -躍動する甲南人の軌跡-」では、沖縄美ら島財団やバイオ・化学総合大手メーカーで活躍するOG 二人が紹介されています。

次号でも、神戸医療産業都市で再生医療分野などの研究職に就いて活躍するOG二人が紹介される予定です。

このように女性のロールモデルがたくさんいるFIRST。

これからも高い女子学生比率は続くことでしょう。

でも、近い将来には、理系の女子学生の存在が普通になり、さらに、ノンバイナリーやXジェンダーなどへの理解も進んで、女子学生比率なんていう概念や数値はまったく意味を持たなくなるでしょうね。


動画で見るフロンティアサイエンス学部

前回の記事ではポートアイランドキャンパス(PIキャンパス)の周辺環境について書きましたが、「フロンティアサイエンス学部(FIRST)があるPIキャンパスの、中はどうなっているの?」

・・・と、キャンパス自体に関心がお有りの高校生・受験生のみなさん。

まずは手軽に「動画」がおすすめです。

甲南大学のサイト「動画で見る甲南大学」にも載っていますが、甲南学園広報部がYouTubeにもアップしているようです。

 

まずはロングバージョン。『バーチャルキャンパスツアー』編です。

 

つづいてショートバージョン。こちらは『学生の声』編です。

 

なお、2年前に作製した動画なので、登場学生の現在の学年は「当時+2」ですね。

私も久々に見ましたが、現3年生(当時1年生)の初々しいこと!

 

これらの動画を見て、「直接見てみたい!」(学生をじゃなくてキャンパスをですよ)、と思われた方はぜひご来学ください!

やはり直接ご覧いただくのが一番ですから。

秋期オープンキャンパス(10/1)もありますし、当日の都合が悪い方は、ポートアイランドキャンパス事務室に連絡していただければ、普段でも見学することができます。

手のあいている教員がいれば、マンツーマンで説明しながら館内をご案内します。

お気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先はこちら

 


大学院の授業(ナノバイオ研究演習1)

FIRSTの大学院(フロンティアサイエンス研究科)にも特徴的な演習科目が導入されています。修士課程に2つ、博士後期課程に3つの計5つあるのですが、そのうちの修士課程で履修する「ナノバイオ研究演習1」について、今日はご紹介したいと思います。

 皆さんの中には、大学院では授業らしい授業なんてほとんどなかったよ、という大学院出身者も多くいらっしゃるのではないでしょうか? 私たち教員の多くもそうでした。大学院で学んだことといえば、もっぱら自分の学位論文に関係することだけで、それも独学だったという方も多いと思います。

 そして、研究を進めるうちに自分が取り組んでいる研究におもしろさや、やりがいを感じ、この研究を生涯続けたい! と思っていた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 大学院修士課程では、自分で自立して研究を進める能力を育成することが、どの大学でも共通に掲げられている目標であり、そういう熱い思いをもって研究に取り組んでいただくことに何の問題もありません。

 しかし一方で、大学で行っている研究と全く同じ研究を、企業に入社後も継続してできる人はほぼいないのも事実です。企業には経営方針の中で設定された研究テーマ、プロジェクトがあり、入社後に研究部門に配属された場合、その研究に従事する必要があります。

 そのため、入社後、上司から「この研究テーマをして欲しいから、調べて実験計画を練ってくれ!」と依頼され、研究計画を練る必要も生じます。ところが、最近の新入社員にはそう指示すると「何をどう調べたらいいんですか?」と聞き返す人が多いそうです。「えっ、大学では習っていないの?」と聞くと、「よくわかりません」と答えるそうです。しかし、大学で取り組んでいた研究については関連研究も含めてきちんと答えられるとのこと。

 学部4年、修士課程と研究をしてきたはずなのに、なぜそのような基本的なことができないのか?

 おそらくは、教授から渡される研究資料を読むだけで、異分野の新しい技術に興味を持ったり、それを調べたりした経験がなかったためではないかと我々は考えました。それで、講義を通じてそのような素養を身につけてもらいたいと誕生したのが大学院修士1年が受講する「ナノバイオ研究演習1」です。

「ナノバイオ研究演習1」では、研究シーズや先行研究に関する調査能力を身につけることを目的としており、以下の3点が学生さんには課されています。
(1)自分の修士論文研究と異なる興味深い研究シーズを探してくること。
(2)そのシーズについて報告されている先行技術を調査し、総説の形で纏めること。
(3)総説の内容を、教員や学生に対して15分間でプレゼン(口頭発表)すること。

 夏前から準備をすすめ、 昨日と一昨日の2日間、最後の成果発表である(3)のプレゼンが行われました。

ナノバイオ研究演習3
ナノバイオ研究演習1

 大勢の聴衆を前にしたプレゼン・質疑応答は良い経験になったことと思います。また、教員からだけでなく3年生からも質問が出るなど、質疑応答も活発に行われました。

ナノバイオ研究演習2

 これまでに読んだことがない分野の論文を探してきて、読んで、纏めるわけですから、受講した多くの学生は大変だったと声を揃えて言います。しかし一方で、日頃から論文を探したり、読むようになった。自分の研究テーマ以外にも興味を持つようになったという学生も少なからずいます。

 そのような声を聞くと、講義をつくった甲斐もあったのだろうと思う今日この頃です。


マイラボから垣間見える研究風景

FIRSTの一番のおすすめポイントは「マイラボ」です。
それについては、以前にその誕生のお話について紹介したことがありました。

 このマイラボには、一言では表せない我々教員の思いがたくさん詰め込まれています。
今回は、その1つ(動線と設計)についてご紹介したいと思います。

 理系として大学に入学すると、「将来、自分はどんな研究をするのかなぁ~♪」と夢膨らませた人も多くいるのではないかと思います。実際、私たちもそうでした。

 ただし、大学入学直後には一般教養の講義がほとんどで、専門科目も少なければ、研究室で最先端の研究をしている教授の先生方をみることもほとんどない環境におかれていました。そのため、研究ってどこでどんなことをしているのかすら想像だにできなかったことを覚えています。

 というのも、当時の大学は教養課程と専門課程に分かれており、講義を受ける講義棟と教授の先生方が研究を行っている研究棟は、全く違うところに建てられていました。また、教養課程を教える先生と専門課程を教える先生が別の先生であることも多かったと思います。そのため、研究室に配属される4年生になるまで教授の先生方の研究を知ることはありませんでした。「もっと早く知っていればあの授業を真面目に受けていたのに・・・」、「あの学生実験をちゃんとやってればよかった・・・」と配属された後に後悔したことも何度かあります。将来、何をするのか知らなかったがためにきちんと勉強できなかった、そんなことはできるだけなくそう! 研究を知っていた方が勉強のモチベーションも上がるはず! そんな思い(願い)も、教員による話し合いでは多く話し合われました。
その思いをどう具現化するのか、動線や設計などいろいろと話し合いできあがったのがこのマイラボです。

 これは、マイラボから見える教員の研究室がある研究ゾーンへの廊下です。

マイラボ廊下

 マイラボから数メートルの距離に教員の研究室があり、何か知りたいこと、聞きたいことがあればすぐにでも行ける環境にあります。(学生曰く、数秒で行ける、確かに手前の教員の研究室には5秒もあれば行けるかも知れません)

 また、これはマイラボの席から見える「フロアのグループ測定室」の風景です。

マイラボグループ

 廊下の先には各教員の研究室があるのですが、マイラボに一番近いところにはフロア共通のグループ測定室があり、その壁はガラス張りとなっています。マイラボに座っていると、グループ測定室の中で行われている研究が自然と目に飛び込んできます。FIRSTでは、1年生から一人ひとりに席があるので、ガラス張りの測定室の中で行われている研究のシーンがいつでも目に飛び込む環境になっています。「研究室に入った先輩たちは何やら高そうな機械を使って研究をしているんだぁ・・・。あれっ、そういえばこの前の学生実験で、あの機械使ったような・・・ もっときちんと使い方を学んどかないといけないじゃないか!」なんてことも考えるかも知れません。

 当然、教授の先生たちがどんな研究をしているか、直接、研究室に聞きに行くこともできたりします。私たちが学生時代には考えられなかったシステムがうまく具現化できたのではないかと思います。
いろいろなことを早いうちに知ることができれば、視野も広がりますし、学びたいことも明確になっていきます。夢を抱いて入学してきた学生さんたちには、多くのことを学んでもらって、将来、優れた研究者として活躍してもらいたいですね。

 そんな夢もマイラボには詰められているんです。今日は、その一端をご紹介いたしました。