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もう1つの新学部 “CUBE”

フロンティアサイエンス学部(FIRST)と同じ2009年4月に開設されたもう1つの新学部、マネジメント創造学部(CUBE)。学部名からわかるように文系の新学部です。この2つの学部は、それぞれポートアイランドと西宮北口という、メインキャンパスの岡本から東西に翼を拡げたような場所に、新しいキャンパスとともに誕生しました。

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(甲南大学ホームページより)

私たちのポートアイランドキャンパスのお隣は、理化学研究所のスーパーコンピューター「京」ですが、 CUBEの西宮キャンパスの隣も有名な施設。兵庫県立芸術文化センターです。

先日、小澤征爾さん以来、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演で指揮をされた佐渡裕さんが、昨日、帰国後初の公演をされたのが兵庫県立芸術文化センターです。阪神淡路大震災10年後に文化復興のシンボルとしてオープンした施設で、佐渡さんは、同センターの芸術監督でもいらっしゃいます。

佐渡さんの書き物でよく知られているのが「河合先生との対話」。元文化庁長官の河合隼雄先生との対談をまとめられたものです。甲南大学は河合先生と縁が深く、例えば甲南大学カウンセリングセンターでは、河合先生が日本にはじめて導入された箱庭療法も行われています。

世の中、どこかで繋がっているものですね。

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マネジメント創造学部(CUBE)に関する詳細はホームページをご覧下さい。


進学説明会が開催される

今日は、ポートアイランドキャンパスで進学説明会が開かれました。

進学説明会は2部構成になっており、第1部は14:00〜16:45に行われ、高校の先生を対象とした説明会、第2部は16:45〜19:00に行われ、高校生を対象として行われました。

入試事務室の方からの英語の長文対策など受験生にとって大変有益な情報も得られたのではないでしょうか?

第1部、第2部ともにたくさんの方にご参加いただきありがとうございました。

説明会1

また、第2部のはじめには、FIRSTの学生による学生生活の紹介があり、2回生の白井君がプレゼンを行いました。FIRSTでの学び、学生生活など、自分の視点でまとめてうまくプレゼンされていました。

FIRSTの学生は、プレゼンテーションを講義で学びます。
しかし、教室で学ぶだけでは実践的な力はなかなか養われません。こういう場を活用して学生さんは自分たちが身につけた能力を使ってみるわけです。練習をして、いざ本番でしゃべってみると、あ〜、しゃべるつもりだったのに本番で緊張して言い忘れてしまった、というように思った通りにしゃべれなかったことなどを反省することも多々あります。実践を通じて学ぶことって重要ですよね。

前回は春のオープンキャンパスの時に、2回生の石川さん吉田君が話してくれていました。今回は白井君。さて、次は誰がプレゼンをしてくれるでしょうか?

説明会2

指導主任面談

FIRSTでは、年に2回指導主任面談という学生と教員が話す機会が用意されています。

指導主任というのは、高校でいうクラス担任にあたるものでしょうか? 学生さんの履修指導や学習、大学生活の相談にのってくれる教員となり、すべての学生さんに一人ずつFIRSTの専任教員が割り当てられています。

面談の目的は、学生さんの学習や学生生活の状況などを聞くこと、履修指導をすること、どのような進路を考えているかを聞き、助言等を行うことなどです。また、それ以外にも、学生さんが、授業や学生実験、マイラボや図書館などに対して、日頃感じている不満などを聞き、改善できることは改善していくことも目的としています。3年前に新設したばかりの学部ですので、まだ我々の行き届いていないところも多々あります。ただし、学生さんのわがままや金銭的に考えて無理難題などもありますので、すべての要望にはさすがに応えられませんが・・・。

2,3年生の面談は、4月の早い時期に終わっていましたが、1年生の面談は入学して2ヶ月ほど経ち、学生生活にも慣れてきた6月上旬に行われました。A期の試験も終わり、マイラボにも慣れ、先輩とも話せるようになってきて学生生活に馴染めている学生さんも多かったようです。ただ、慣れすぎてしまったために、提出すべきレポートを出してなく、お小言をもらった学生さんもいたようです。

他大学さんにも同じシステムはありますが、FIRSTでは、指導主任の他に「副指導主任」がさらに2名加わり、計3名の教員によるサポート体制が構築されています。これは「ポリバレント教育システム」という複数の教員が学生を共同して指導するFIRSTならではシステムを取り入れているためです。

学生さんは今後の人生でいろいろな壁にぶち当たることもあると思うのですが、一人の意見だけを鵜呑みにするのではなく、いろいろな意見、助言を幅広く聞き、その中から自分の判断で意見を取捨選択して、自分なりの結論を
出してもらうことを学んでもらうために、副指導主任というものを取り入れているんです。

いいですよね、相談できる人がいっぱいいれば。
でも、相談した相手によって正反対の助言をもらったりしてしまうことも・・・。
それもいい経験!若いうちにいっぱい悩んで自分なりの結論を出す術を学んでください。


オトギリソウ(弟切草)

ここポートアイランドキャンパスにも初夏がやって来ました。

キャンパス内には以前ご紹介したツツジのほかにもいろいろな植物が植えられていますが、この時期はキャンパス正面の左右に黄色いビヨウヤナギが満開です。

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この植物は別名オトギリソウ(弟切草)という物騒な名前でも呼ばれていますが、これは昔、この植物を薬草として鷹のケガを直すのに使っていた兄がこのことを秘密にしていたのに、それを弟が他人に漏らしたために兄が怒って斬り捨てたという伝説からきています。

実際に、この植物の汁は鳥類の病気の特効薬となるそうです。

オトギリソウには生理活性の強い物質が含まれていて、ヨーロッパではこれを食べたヒツジが太陽に当たると病気になってしまうため、そうした病気に強い黒いヒツジが開発され、いまもヨーロッパには黒いヒツジがたくさんいるのだそうです。

生理活性の強い物質は「毒にも薬にもなる」ということで、この植物に含まれる成分を薬として活用できないか、こうしたこともフロンティアサイエンス学部で研究されているテーマの一つです。


教員の研究紹介(長濱先生2)

前回の長濱先生の研究紹介の続きです。

 では、具体的にポリ乳酸をどのように高機能化するのか。私は、ポリ乳酸に「知能」をもたせることで、高機能なインテリジェントバイオマテリアルを創ることに取り組んでいます。

 聞きなれない言葉かもしれませんが、知能をもつ材料は「インテリジェントマテリアル」と呼ばれており、材料自体がセンサー(感覚器)、コントローラー(脳)、アクチュエーター(筋肉)を持ちます。そのセンサー部位が、温度、pH、光、特定分子などの外部環境変化を感知し、その刺激をコントローラーに伝え、コントローラーがアクチュエーターに指令を出して所定の反応を行わせることで、物性変化・相転移・形状変化・応力発生などのダイナミックな動きを生み出し、その結果として、ある特定の機能を発現します。この応用対象を医療に向けたものが「インテリジェントバイオマテリアル」です。
 では、ポリ乳酸系インテリジェントバイオマテリアルを用いて、どのような革新的な医療技術が開発できるのか。その一例が、体が弱っている患者さんに負担をかけない治療(低侵襲治療)技術です。私はこれまでに、室温から体温への温度上昇で液体からゲル(水を含んだ半固体状物質)へと変化するシステムを組み込んだポリ乳酸を創りました。これにより、手術で切開しなくても、注射という低侵襲な方法により、浅部臓器から深部臓器まで、あらゆる患部にゲルを投与することができます。また、この液体中に薬を混ぜておき、これを患部に注射すると、その部位で薬を閉じ込めたゲルができます。ゲルの中に入っている薬は一気に広がらず、ゲルが分解するとともに少しずつ漏れ出すため、投与回数を減らすことによる副作用の軽減やQOLの向上、薬の局所(患部周辺)濃度を一定に保つことによる治療効果の向上をもたらします。このような治療技術は、脳内、眼内、脊髄内など、切開を伴う手術が難しい部位の疾患において特に功を奏します。さらには、薬の代わりに細胞を生かしたままゲル内に閉じ込めることも可能であり、この技術を現在注目されている再生医療の分野などにも役立てることを考えています。その他の例として、新しいがん治療技術が考えられます。私は、がん細胞を認識して細胞内に侵入し、そこで自ら壊れることで抗がん剤を放出するようなポリ乳酸ナノカプセルの開発に取り組んでいます。このようなシステムでは、がん細胞のみを狙い撃ちすることができるため、治療成果の向上とともに、抗がん剤で避けがたい副作用の軽減にもつながります。

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 このように、高分子化学者である私が医療の未来を切り拓くことができるかもしれないのは、大変にやりがいを感じます。新素材を創り出すことで、従来なかった医療技術を世界に提供でき、いままでは救えなかった人々を救えることができれば幸せです。
また、こうした材料主導の治療を追求するもうひとつのメリットは、「医療の質」の面でも向上が期待できることです。医師によって医療技術にばらつきがあり、医師の技量に委ねられている面も大きいのが、医療の現状でもあります。私の研究成果が実用化され、誰もが平等に安定した質の高い医療を受けることができるようになったらいいなと思います。

 生命科学分野は、化学、生物、医学、薬学、環境、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーとその応用は多岐にわたります。特に、化学的な知見から創りだした材料を他の分野に応用することなど、分野の融合によって、これまでにはない新しいテクノロジーを生み出されることが特徴です。
 近い将来、このような素材が医療の現場で使われたら嬉しいですね。