E-Learningというのは電子教材などを使った学習のことですが、T-Learningというのは皆さん聞かれたことがないと思います。これは、フロンティアサイエンス学部の教員相互授業参観のことです。専任教員の講義科目でそれぞれ最低1回は、参観を実施することになっています。
T-Learningという名前は「Teacher(教員)も学ぶ」というところから付けられました。学ぶのは「授業を参観する教員」か「授業を実施する教員」か? こたえは両方です。
「授業を参観する教員」は参観した授業の良いところを参考にすることができます。また、自分の専門と異なる授業では、授業内容自体が改めて勉強になることもあります。
「授業を実施する教員」は、参観した教員からのコメントを参考にすることができます。改善すべき点を指摘してもらうこともあれば、良かった点を指摘されて励みになることもあります。
大学教員は基本的には研究者。「教える」ということに関しては、教育されたわけでも免許を受けたわけでもありませんから、授業の仕方などについて、継続的な向上のための努力をすることは欠かせません。
それと、何より大事なことは、教員が互いにどのような授業をしているか、内容、授業の様子、学生の関心度・理解度なども含めて、参観によって知ることができるということです。学部教育を考えるときに、このような情報の共有がなければ、各教員が「自分の授業では・・」という観点のみで意見を交換しがちになり、なかなか建設的な議論にはなりません。
高校までは文部科学省の指導要領というガイドブックがあり、どの授業でどんな内容を教えるか、ということはある程度決まっています。しかし、大学の授業科目の内容は、学部で独自に考える事項ですから、「誰がどんな授業をしているかわからない」というわけにはいきません。参観は、各授業の役割や学部教育全体における各授業の位置づけや役割を再確認し、必要があれば改善していくのに役立つというわけです。
この制度は、新学部の構想段階で「教員の経験」をもとに採り入れられました。実は、私たちは大学時代に良い授業を受けたという経験があまりありません。もちろん、中にはすばらしい授業もありましたよ。でも、多くは「先生が前で教科書を朗読しているだけ」とか「先生が黒板に向かって独り言のようにつぶやいているだけ」とか「先生が板書してそれを写すだけ」とか、、、、中には「私は体の具合が悪い。単位はあげるから授業には出んでよろしい。」と授業もありました。
愉快な思い出ではありますが、ずいぶん無駄な回り道をした、という思いがあります。大学に入ってすぐに、専門分野のおもしろさを感じられる授業に出会えていたら、、、、専門分野をしっかり学べる授業に出会えていたら、、、、 フロンティアサイエンス学部の学生たちには、そんな授業に出会わせてあげたい、というわけで、学部開設時から継続的にT-Learningを実施しています。
実際に参観を行ってみての感想は(ブログ編集者の個人的な感想ですが)、、、「大変参考になる」ということに尽きます。本当にどの授業にも参考になる点がたくさんあります。それから「授業の質が高い」。自分が大学生のときにこういう授業を受けたかった、と思います。
観られる方は、、、、これは、緊張しますよ! 参観日が決まっているわけではなく、いつ観に来られるかわからないので、毎回毎回、すごいプレッシャーです。