5月末の梅雨入りから2週間がすぎましたが、今年はまだあまり雨が降っていません。その代わり、ここ数日は真夏のような暑さです。暑い日が続くと、もう少し雨がふればいいのにと思うこともありますが、雨が降ったら降ったで、ジメジメして嫌な季節ですね。
こんな季節には綺麗な花を咲かせる植物も少なくなりますが、一つだけ雨が似合う花がありますね。そう、紫陽花です。紫陽花の美しさはやはりあの青やピンクの微妙な色調にあると思うのですが、あの色もその実態は化学です。青い花も赤い花も、含まれる色素はアントシアニンの一種で同じものですが、酸性の土では青い花が、アルカリ性の土では赤い花が咲きます。面白いことに、アジサイに含まれるアントシアニンという色素は、それだけを取り出してみると、酸性では赤、アルカリ性では青になります。土の酸性アルカリ性と花の色の関係とは逆なんですね。
調べてみると、花の色が青くなるのは、アントシアニン以外にアルミニウムイオンがある時なんだそうです。土が酸性だと、花の中にアルミニウムイオンがあって、アルカリ性だとアルミニウムイオンがない。これはなぜだか分かりますか? これもまた、化学の現象です。
アルミニウムイオンは、酸性ではAl3+というイオンですが、アルカリ性では水酸化アルミニウムになってしまうため、根から吸収されなくなるんですね。だから、酸性の土では花の中にアルミニウムイオンがあって、アントシアニンと錯体を作って青くなるというわけです。
花の色も化学で説明できるのは、何だか面白いと思いませんか?
ところで、アジサイは日本原産の植物ですが、もともと日本に自生していたものはこの写真にもあるようなガクアジサイだったそうです。これがヨーロッパで改良されて、よく見かけるホンアジサイになったということです。それを知ってから見ると、なんだかホンアジサイは派手な西洋美人に、ガクアジサイはの清楚な大和撫子のような気がしてきました・・・
写真は、先日ランチバイキングを紹介した神戸花鳥園のアジサイ展の様子です。
月末までしているようですので、お時間があれば皆さんも是非訪れてみてください。