ピア・レビュー


今日は、研究発表のしくみについてご紹介します。

研究者は、研究の成果を公開しなくてはなりません。それは、税金などの公金を使って研究をする者の義務であるとも言えます。もし、自分の私財を投げ打って研究をするのであれば、「公表はしない。趣味でやってるだけだから。」という主張も通用するでしょうが、そんな人はまずいません。(私財を研究に投じる人はいますよ。有名なのはスーパーマン役の故クリストファー・リーブ氏ですね。落馬事故で首から下が不随になって以降、脊髄研究や再生医療研究に多額の寄付をしています。カリフォルニア大学アーバイン校には同氏の名前を冠した麻痺性脊髄損傷の研究所もあります。)

公表のもう1つの理由は、その成果を他の研究者や産業界などに役立ててもらうためです。どれだけ価値のある研究成果であっても、人目に触れなければ活用されることもありませんからね。

さて、本題ですが、では、研究成果を発表しようとする際、公表する「価値」があるか否かはどのように評価されるのか? といいますと、多くの場合、研究者が互いに評価し合うシステム(ピア・レビュー)が採られています。例えば、論文を書いて科学雑誌に投稿する。その論文を、同分野の研究者たちが、新規性や独創性などについて評価をするわけです。ピア・レビューを経ずに論文を掲載する雑誌もありますが、それは内容について何の保証もしていないわけですから、そのような論文は、私たちはあまり信用もしませんし、評価もしません。だって、極端な話、大学1年生の実験レポートだって掲載させられるわけですからね。

さて、以前に、あるインターネットジャーナルで、三好先生がこのピア・レビューの審査委員長のような役(Editor)をしていますよ、ということを紹介しました(そのときの記事はこちら)。今日、紹介する内容は、ある研究者の論文の内容について三好先生がコメントを求められ、そのコメントがアメリカ化学会会報誌(Chemical & Engineering News)に掲載された、という件です。新聞の科学記事によくあるような「○○に詳しい○○大学○○先生の話:この研究は○○という点で意義深い ~~~  今後、○○につながる可能性もあるのではないか。」というようなコメントですね。

内容はこちらです。(アメリカ化学会ですから、英語です。)