クォーター制の導入


今日は、以前に「試験前のマイラボ」の時に少しだけ触れていたFIRSTがクォーター制を導入した理由についてお話します。

皆さんの中には「クォーター制(4学期制)」という言葉自体を聞いたことがない方も多くおられるのではないのではないでしょうか? というのも、日本のほとんどの大学では、クォーター制ではなく、セメスター制(2学期制)を採用しているからだと思います。我々FIRSTの教職員も、大学時代はセメスター制で学びました。ただ、海外ではクォーター制を採用しているところも多くありますので、中には知っておられる方もおられると思います。教職員の中にも海外へ留学した経験をもつものもいます。その時の経験から、開設準備委員会のときにクォーター制が長所が取り上げられ、FIRSTで採用されるに至ったわけです。

まず、我々が思っていたセメスター制の問題点からお話しします。

セメスター制では週に1度しか講義がなく、また、たくさんの講義科目が前期や後期に同時に開講されているので、前の週に講義で話した講義内容を忘れてしまっている学生が多くいます。また、高校のように中間テストがない科目も多くあるため、テスト前に試験範囲を丸暗記してテストに臨む学生さんが大半となってしまいます。結果として、テストが終わるとテスト前に勉強したことをぜんぶ忘れてしまうんですよね。試験前に必死に覚えた英単語が試験後にはすっかり記憶の片隅からも消えてしまっているあの状態です。

一方、クォーター制では、前期や後期をそれぞれ2つに分けるので、クォーターの各期においてはセメスター制で開講されていた半分の科目が週に2回ずつ開講されることとなります。週に2回もありますし、科目数もセメスター制の半分となりますので、前の講義の内容を忘れてしまっている学生さんもだいぶ少なくなり、講義毎の理解度は大きく向上することが期待されます。また、場合によっては前の講義の内容の演習形式で定着させることもできるわけです。

また、理系の専門科目の中には、ある講義の内容を発展させたものを勉強させていく「積み上げ式」の講義科目も多くあります。セメスター制では4科目の積み上げが前期、後期、前期、後期と計2年もかかりますが、クォーター制では半分の1年の期間で修得することが可能となります。大学入学後に、目指す道を変えた学生さんに進路変更の余地を残すことができるわけで、非常によい制度と思い、導入に至りました。

だからといって、すべての科目をクォーター制にしたわけではありません。共にいいところもあれば悪いところもあります。FIRSTでも、それぞれの制度のいいところを活用できるように、このセメスター制とクォーター制を講義科目によって使い分けて利用しています。

例えば、時間をかけて継続的に学ばせたい語学のような科目やレポート作成である程度の時間をかけてじっくりと調べたり、考えたりする必要のある実験科目はセメスター制として開講し、短期間で集中して学ぶことが良いと考えられる専門科目はクォーター制として開講しています。

今年で3年目。実際に導入してみてどうだったのか? 

学生さんの講義内容に関する習熟度に関しては、セメスター制よりもクォーター制の方が格段に向上したように思えます。また、試験期間が4期に分散しているため、試験勉強を通じてしっかりと学びを深めることもできているようです。

教員にとって予想外だった点は、講義期間中に学会などで1週間ほど出張に行くと2回も補講をいれないといけないことです。クォーター科目がその期に2つ開講されていれば補講を4つ。こればっかりは想定外でした・・・。

ただ、学生さんが成長していく姿を見ると、そんなこと忘れてしまえますけどね。