ウイルス(3)ー ノロウイルスとインフルエンザウイルス ー


最近、H7N9という新しい鳥インフルエンザのニュースが流れています。
これまでヒトが感染したことのない型式なので、免疫がないということで世界的な大流行が危惧されています。こわいですよね。
そのニュースのこともあり、今日は久しぶりにウイルスについてのお話を一つご紹介します。

今の鳥インフルエンザもそうですが、昨年末から今年にかけて普通のインフルエンザウイルスやノロウイルスが猛威をふるっていたので、皆さんの中にはそちらに感染した人もいるかもしれません。

ウイルスの感染は保菌者(感染者)との接触によることが多く、それを避けるためにもあまり人がたくさんいるところに行きたくないものです。といっても、人に来てもらわなければ困る施設もたくさんあります。そういう施設の入り口には、必ずといっていいほどアルコール除菌スプレーがおかれていますよね。FIRSTの入口にも例に漏れず置いてありました、除菌スプレー。

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アルコール除菌スプレーさえあれば、ウイルス対策もバッチリと思えますが、皆さんはこんな話を聞いたことありませんか? インフルエンザウイルスはアルコール消毒が効くけど、ノロウイルスにはアルコール消毒は効かない・・・
確かに新聞にも書かれていたりしますが、これって嘘、それとも本当?

なぜアルコールが除菌できるのか、そのしくみを知っていればアルコール除菌が効くウイルスと効かないウイルスを簡単に判断できます。

水と混ざっているので、水みたいなイメージがあるアルコールですが、アルコールは水と違う性質ももっています。
注射の前なんかでもアルコールで皮膚の表面を拭くと、表面の油分が拭き取られてしまったのに気づいたことってないですか? アルコールは水とよく混ざる水みたいな液体ですが、水と違って油も溶かすことができる液体なんです。

実は、この油を溶かす性質こそが消毒のポイントとなります。

中学校や高校の理科の教科書にも記載されて覚えている人もいると思いますが、生物は細胞が集まってできあがっています。この細胞、中に含まれる遺伝子などを守るために、細胞膜という水に溶けない油の膜で覆われています。この膜を作っている脂質という分子は、石けんのような物質であり、水にも油にも溶ける性質があります。水と接している時には油の膜を作っているのですが、エタノールを含む水にさらすと、脂質がアルコールに溶けてしまって、細胞膜は溶けてなくなってしまいます。
結果として、細胞は丸裸となってしまい、生きていけなくなるわけです。

大腸菌などの細菌は細胞膜を持っているため、アルコールで簡単に除菌されてしまいます。(だいたい数秒から数十秒で死滅してしまいます)

ところがこのような細菌と異なりウイルスは生き物ではないので、細胞膜(ウイルスの場合はエンベロープと呼びます)を持っているものと持っていないものがいます。インフルエンザウイルスはエンベロープをもつウイルスの仲間であり、アルコールで細菌と同様に速やかに除菌されてしまいます。
一方ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスの仲間であり、アルコール除菌しても10分以上も除菌はされず生き残ることができます。

つまり、言われているとおり、インフルエンザとノロウイルスではアルコール除菌が効く、効かないがあるんですね。また、このことを知っていれば、そのウイルスにエンベロープがあるかどうかさえ調べれば、自分でも除菌されるかどうかを調べることもできますね。

でもなぜウイルスによってエンベロープがあるもの、ないものがあるのか?
それはまた別の機会にお話ししますね。