先週の金曜(2日)は、父母の会支援キャリアウィークの第3回目のセミナーが開催されました。
今回は、株式会社耐熱性酵素研究所より奥 崇 社長をお招きし、お話しいただきました。
耐熱性酵素研究所は2003年に設立されたバイオベンチャーで、耐熱性酵素に関して開発や精製に独自の技術を持たれている会社です。
酵素反応は、一般的な有機合成反応では、何段階もかかる合成反応を1段階や2段階という数少ない回数で行うことができます。それは、酵素の持つ高い基質特異性のおかげであり、起業における製造プロセスのコストダウンにつながります。また、有害であったり、危険な試薬を使わず、水溶液で反応ができることも特徴として挙げられ、クリーンな化学反応触媒として興味が持たれています。
セミナーでは、酵素の話、特に「企業で必要とされる酵素の話」などを中心にお話いただき、耐熱性酵素研究所さんがどのようなスタンスで研究開発を行っているかご紹介いただきました。また、ベンチャー起業や経営、企業と大学との違いなどについても興味深いお話をしていただけました。
研究者として、研究をする場合に、「うまくいくかどうかわからない、でもうまくいったらおもしろい」というテーマにはとても興味を惹かれます。奥社長がおっしゃられていた「うちではできません、とは決していいません」という言葉に、同じ研究者として強いシンパシーを感じました。できないと先入観を持ってしまうと些細な変化を見逃してしまって、しいては重要な発見すらも見逃してしまうことも多くあります。できること(結果が出ることがわかっていること)に挑戦するのではなく、できないかもしれないこと(やってみても実際に結果が出るかどうかわからない)に挑戦をし、結果が出ない苦労を乗り越えて結果を得たときの達成感を信じて研究をすすめる、まさに「研究者魂」がそこにあるのだと思います。
どんな会社で研究を行うか、自分がどんな研究を将来したいか、今のうちに考え、いろいろな人の話を聞いて進路選択をしてほしいですね。