マイラボの一角にあるガラス張りのミーティングルームにて。
ゼミの風景でしょうか?
いえ、これは「前試問」といって、学生実験(授業)の一コマなんです。
実験の授業というと、手を動かす、何か、テクニック的なものを身につけるものと思われる方が多いかもしれませんが、実際には、それは一部にしかすぎません。
実験を通じて身につけること、それは文献調査力、計画力、観察力、そしてもちろん実験技術からレポートの書き方まで、それはたくさんあるのですが、そのいずれにとっても基礎となる大切なことが、「原理」を理解することです。
原理の学習を通じて教科書的な知識がより深く身につくということもありますが、それだけではありません。
原理を知らないと、うまく実験できないのです。
例えば・・・
試薬Aを試薬Bに加えるのか?
試薬Bを試薬Aに加えるのか?
たったこれだけの違いで結果が大きく変わることがあります。実験の原理を知らないと、自分で考えて正しく判断することができません。
「先生の指示が『AをBに加えて』だったから・・・」
というのでは、次もやはり自分で判断することはできませんね。先生に言われた通りに手を動かしているだけでは、だめなんですね。
そこで、実験の前に原理を徹底的に理解する、さらに、そういう習慣を身につける、ということを目的として、「前試問」が行なわれているわけです。
少人数教育を特徴とするフロンティアサイエンス学部(FIRST)ならではの教育メソッドですね。
なお、「前試問」は実験の前日までに、授業時間外に行われています。私は個人的に、これを、「将来、社会に出たら、『仕事』の前にどれだけ準備をしておくかで『仕事』の質に差が出るんだ」ということを学生たちに感じとってもらうため、と理解しています。