企業が大学生に求める能力とは?(3)


前回、「企業が大学生に求める能力」を身につけるために、FIRSTでは「研究で学ぶ」ということを書きました。

FIRSTでは「研究で学ぶ」ために、次のような準備をしています。

  • 「研究」を意識してもらうために、同じキャンパス内に研究所があります。キャンパス自体もポートアイランドの研究開発ゾーンに設置されています。
  • 「研究」を感じてもらうために、学生専用スペース・マイラボの隣には実験室やミーティングルームがあります。
  • 「研究」を知ってもらうために、学生専用スペース・マイラボと同じフロアに教員研究室があります。
  • 「研究」に触れてもらうために、例えば授業が無い期間に研究室での研究補助のアルバイトを受け入れたりすることもあります。
  • 「研究」を実践してもらうために、3年生の学生実験は各人がテーマを選択します。

このように、通常は4年生や大学院生になってから取り組む「研究」を、早くから意識付けや教育に取り入れているのがFIRSTの特徴です。

もちろん「研究で学ぶ」理由の一つは、FIRSTの役割、つまり設置の目的が、ナノやバイオなどの先進テクノロジーに取り組む自立した研究者を養成することだからです。

しかし、前回から書いているように、研究者を目指さない人にとっては、研究は決して無意味なものではありません。研究者以外の進路を目指す人にとっても、「研究」は最も優れた教育コンテンツだといえます。それは、研究を行うことによって、学生たちが社会に出たときに必要とされる力をホールパッケージとして養うことができるからです。

ホールパッケージ(whole package)という言葉が大学教育に使われる言葉かどうかはわかりませんが、「すべてが揃っているセット」というような意味で、例えば、歌手のオーディションで 審査員にYou have the whole package ! と言われたら、ルックスも歌唱力もダンスもショーマンシップも全部揃っている! というような意味になります。

では、研究で培われる「能力のホールパッケージ」とはどのようなものでしょうか?

長くなりましたので、次回、研究で養える力について、企業が大学生に求める力と対応させながら書いていきたいと思います。