(「入学したらすぐ専門実験」から続く)
今日紹介するのは1年生の化学系(ナノ)のテーマ。
内容は「クロマトグラフィーによる分離と分析」です。
使用するのは「薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート」。アルミ板の上にシリカゲルがコーティングしてあります。
(アルミ板なので裏は銀色、表はシリカゲルの白色です。幅1 cm × 高さ5 cmくらいの大きさに切って使います。)
このTLCプレートを使って、渡された未知試料の正体をつき止めていく実験です。ちょっと謎解きみたいですね。
シリカゲルというと乾燥剤を連想される方もいらっしゃると思いますが、シリカゲルが捕まえる(吸着する)ことができるのは水だけではありません。水に性質が近い物質ほど(専門的には、極性が高いとか水素結合性が高い、などといいます)、よく吸着することができます。
というわけで、TLCプレートの下の方に、試料溶液で「点」を打って、溶媒を下から上に染み込ませていくと・・・
(毛細管を使って、TLC板の上に、微量の試料溶液を「点」のように付けます。)
(ガラス瓶の中で、下から上に有機溶媒を染み込ませていくと・・・)
シリカゲルに「吸着しやすい」物質は上に移動しにくく、逆に「吸着しにくい」物質は溶媒とともに速く上に移動していきます。
(紫外線を吸収する物質は、紫外線ライトを当てることで「どこまで移動したか」を観察することができます。)
この移動距離を、いろいろな他の物質と比べてみることで、未知試料の正体を特定するのです。
操作は決して難しくない実験ですが、この実験から学べる事柄は山のようにあるので、化学の基礎を身につけるにはとても良い実験です。調べたり考えたりするポイントが多いのでレポートはたいへんだと思いますが、1年生のみなさん、頑張ってください。