さて、FIRSTは現在、期末試験真っ最中。マイラボやカフェテリアで、昼間の空き時間はもちろん、夜遅くまで、試験勉強に取り組んでいる学生の姿が見られます。
今回はあえて、試験に対して斜に構えたような話から書き始めたいと思います。
学生のみなさんは、「何のために、自分は一生懸命、試験勉強に取り組んでいるのか」とふと考えることはないでしょうか。ペーパーテストで問われるのは、主に、専門的な知識や、論理的なものの考え方です。そのような知識や力が、自分の将来に役立つのだろうか?と考えてしまうことはないでしょうか。
「自分は将来、ナノやバイオの専門家として働くんだ」という明確な目標を持っている人は、あまり迷うことはないかもしれません。でも、将来をぼんやりと捉えている人は(多くの人はそうだと思いますが)、「今勉強していることが役に立つのか?」「他に身に付けないといけないことはないのか?」と不安になることもあると思います。
(余談ですが、ブログ管理人の学生時代は不安だらけでした。同級生たちも同じで、大学院生の先輩方に、(化学系学科だったので)先輩はどうして化学を勉強しているのですか? とよく聞き回ったものです。)
さて、ひとつの結論を先に言いますと、皆さんが学んでいることは、将来、その内容を「直接、仕事に活かす」人にとっても、「直接は活かさない」人にとっても、重要で、また、必ず役に立ちます。
それは、なぜか? 試験が終わったら、夏休みのあいだにじっくり考えてみてはいかがでしょう。(くれぐれも、考えるのは試験が終わってから、ですよ。)
さて、「何のために大学で学ぶのか」「なぜ自分は○○を学ぶのか」を考えるのに避けて通れないのが、「企業が大学生に求めている能力や資質は何か?」ということです。もちろん、みなさんの「学ぶ」動機や、われわれの「教える」の動機が、「就職する」や「良い人材を育成する」だけにあるわけではありません。私は、このような動機や目的は、大学の「学び」のほんの一面に過ぎないと思います。
しかし、まあ、ほとんどの大学生が将来企業に就職するわけですから、「企業が何を求めているか」を知っておくのも悪いことではないでしょう。ひとつのアンケート結果を見ていただきましょう。
まず、みなさんが誤解するといけないので、先に書いておきますが、回答は一般的な文系の職種(営業職や事務職)を念頭においていると考えられますので、「高度な専門知識」の回答数が少ないのは、FIRSTの学生さんには当てはまらないと思います。つまり、理系であるFIRSTの学生さんには、高い専門性が求められると思います。
また、「回答は3つまで」なので、企業さんが非常に大事と思っているものであっても、優先度が4番目以降であればスコアは入らないことになります。例えば、語学力。たいへん少ない回答数になっていますが、語学の重要性がこんなに低いわけがありません。別のアンケートでは、企業から甲南大学に対して、「優れた語学力を備え、国際舞台で活躍できる人材の養成」がかなり期待されているという結果もあります。このグラフでスコアが低いから「大事ではない」ということではありませんので注意してください。
さて、回答が多かったトップ3は「行動力・実行力」「バイタリティ・熱意」「協調性」です。どのように感じましたか?
これって授業だけで身につくものなのでしょうか?
おそらく、そうは思わない人が多いのではないでしょうか。大学教育のメインコンテンツである授業だけでは語れない、でも、大学生に強く求められる能力や資質。
FIRSTにマイラボという学生同士のコミュニケーションの場があり、また、少人数制で教員とのコミュニケーションが多くなっているのは、こういう力を養ってもらうためでもあるんですね。
もちろん、授業がこういう力と無関係なわけではありません。では、どうすれば授業を通じて、企業が求める能力(社会人力や就業力などともいいます)を身につけることができるのか?
長くなりましたので、今回はこのへんで。