後期の授業が開始して3週間あまり。
学生の皆さんも、そろそろ調子が戻ってきた頃ではないでしょうか。
さて、後期も学生実験の様子をご紹介していきたいと思います。
フロンティアサイエンス学部(FIRST)では、1年生は週1、2年生は週2、3年生は週3で実験の授業が組まれています。
4年生ですか?
4年生は学生実験ではなくて「卒業研究」になるので、それはまた今度説明しますね。
今回紹介するのは2年生実験から2つ。バイオ・テーマとナノ・テーマです。
まず、バイオ・テーマ。
「HeLa(ヒーラ)細胞を数えているところです。(by 画像の学生Tさん)」
HeLa細胞は、1950年代に確立された世界初のヒト由来の細胞株で、細胞の持ち主であったHenrietta Lacksさんの頭文字からHeLa細胞と名付けられました。今では、基礎生物学から医療関連まで、さまざまな細胞を使った研究に欠かせないものとなっています。
2年生の実験では、このHeLa細胞を取り扱う技術の習得を行なっています。
#ちなみに「細胞株」とは、特性や遺伝的背景が均一な細胞の集団のことです。均一でないと、実験をするたびに違う結果が得られてしまいますので、ヒト由来の細胞株というものが科学全般にとっていかに重要な存在か、ということですね。
次はナノ・テーマ。
「金ナノ粒子を合成しています。(by 画像の学生)」
ナノとは10-9のことで、ナノメートルは10億分の1メートル。
といってもピンときませんね。
もし、地球の直径が1メートルだとしたら、1ナノメートルはビー玉(直径1.4cm)くらいの大きさに相当する、と考えると・・・・ いやいや、やっぱり小さすぎてよくわかりませんね。
これだけ小さいと、私たちの身の回りにある物質も、普段知っている性質とは異なる性質を示すことがあります。
金(gold)もその一つ。
金のナノメートルサイズの微粒子(金ナノ粒子)の溶液は、画像からおわかりいただけるように赤色なんですね。
金なのに金色ではなくて、赤色なんです。
#ちなみに手前の溶液(黄色)は、微粒子になる前の金イオンの溶液です。
しかも、金ナノ粒子には、微粒子同士が集合すると色が赤から紫に変わるという性質があって、この性質は診断技術に応用されているんです。
例えば、尿中の “病気の目印になる成分” に対して金ナノ粒子が集合するように設計しておくと、尿サンプルに金ナノ粒子を混ぜて「色が赤から紫に変わった」から病気かも!?、という具合に、診断ができるんですんね。
この原理は、実際にいろいろな病気の診断や健康状態のチェックに応用されています。